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取材・文/中西英雄 撮影/天田“しろくま”輔
中西英雄:
SYNCA MUSIC PROJECTのもうひとつの通過者が、テクノ・ポップ・バンド、applebonkerだ。もともと同じ大学の仲良し4人組。メンバー全員が、それまでに個々で音楽活動をしていたものの、打ち込みやDJの経験のあるものは皆無。そんな彼らがBOOM BOOM SATELLITESのライブ映像を観て……。
Inoue:
「この映像がきっかけで、applebonkerが結成さたんです」
Kitamura:
「それまで僕は、打ち込み音は大嫌いだったんですけどね(笑)」
Tanaka:
「その後、みんなでお金を集めて、打ち込み機材を買いにいきました」
中西英雄:
キャッチーなメロディやポップ・フィールドを得意とするMiyachi、90'sヒップホップを愛するリーダー、Inoue。小椋佳をルーツに持ちエレクトロニカを愛するという守備範囲の広いTanaka、ビートルズに感銘を受けながら、ノイズ、メタルの激情を秘するKitamura。と、メンバー全員、音楽嗜好は気持ちが良いくらいバラバラ。この音楽性がひとつになるとき、ニュー・タイプのサウンドが生まれる。
Miyachi:
「制作はみんなで意見を出し合って、落とし所を見つけていく感じですね。雰囲気悪くなることなんてしょっちゅうですよ」
中西英雄:
デビュー曲となる"Hyper Love Hotel"にもその音色の多様性が詰まっている。幾重にも張り巡らされた旋律やビート、仕掛け、サンプル……。僭越ながらも"よりポップにアプローチしたザ・バトルス"と表現できるかもしれない。同曲の発案者であるMiyachiはこう語る。
Miyachi:
「コード感をすごく大事にして制作しましたね。聴いた瞬間に引き込めるような受けのいいものを」
中西英雄:
先述の緻密なサウンド・プロダクションを有しながら、手触りはさわやかで疾走感あるテクノ・ポップなのだ。またジャンルの多様性でいけば、同録の"World Wide Wave"が各々の音楽性が随所に見られ、より顕著。とは言え、雑多な印象は受けず、applebonkerというフィルターを通して、オリジナリティ溢れるサウンドに昇華している。
Inoue:
「本当になんで通過したのか、こっちが聴きたいくらいなんですよ」
中西英雄:
と一様に不思議がるメンバー。実験性の高い音楽であることには、間違いないのだが、"いいものは取り入れる"という一貫した姿勢(真似に終わらず、自分のものにする能力も含め)、既成概念に囚われないアイディア、全体的にみて、この結果は至極妥当なものだろう。没個性的なバンドが数多存在するなかで、彼らは異彩を放っている。異彩繋がりではないが、リミキサーにエレクトロの奇才、THE STEALTHが起用され、個性と個性の激しいせめぎ合いが楽しめる。
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